桐一葉きりひとは)” の例文
街は雪解けで仄明ほのあかるい街のネオンサインが間抜けてみえる。かりの名をまず淀君よどぎみとしようか。蝙蝠こうもりのお安さんとしようか……。左団次の桐一葉きりひとはの舞台がまぶたに浮かぶ。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのあいだにおいて別種の注意をひいたのは、かの東京座の三月興行に坪内逍遥つぼうちしょうよう博士の「桐一葉きりひとは」を上演した事と、歌舞伎座の四月興行に森鴎外もりおうがい博士の「日蓮聖人辻説法にちれんしょうにんつじせっぽう
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一、梧桐ごどう一葉いちようおつの意を詠じなば和歌にても秋季と為るべし。俳句にては桐一葉きりひとはを秋季に用うるのみならず、ただ桐と言ふ一語にて秋季に用うる事あり。鷹狩たかがりは和歌にても冬季なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
桐一葉きりひとは日当りながら落ちにけり
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
みずから進んでかの「桐一葉きりひとは」や、「孤城落月こじょうのらくげつ」や、「まきかた」などの史劇を発表した。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
文芸協会はこの年の十一月、歌舞伎座で坪内逍遥つぼうちしょうよう博士の「桐一葉きりひとは」を上演した。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)