つく)” の例文
「はい、百姓の母が、百姓をおこたると、体がすぐれぬと申しまして、長浜へ移りまして後も、城内の畑を耕し、いろいろな物をつくっております」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お昼寝もなさらずに、御丹精あそばすので、邸では、お汁のや漬物は、みんなお母あ様のつくった物で足りておりまする」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことしも戦乱の中だが、菊もつくった。後で、菊畑へ出て見てもらおう——などと隔意かくいもないもてなしである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、一ぱんの尊さは、一粒の米でも一くきの野菜でも、自分でつくってみて初めてわかることである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土塀の囲いのうちには、朝夕の汁へみ入れるほどな菜だとか、ねぎなどの野菜が畑につくってある。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「寺へ来い。そちの母がつくったという野菜など煮させて、一こん酌みながら、なお熟議じゅくぎしよう」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うながして、因幡守いなばのかみは、縁へすすんだ。沓石くつぬぎに新しい草履を見た。又右衛門はかしずくが如く因幡守の後について庭へ出た。菊のつくり方について、因幡守はいろいろな苦心を話した。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分はきょうは一日、堀川添ほりかわぞいの閑居へ来て終日読書している。自分のつくった菊がこの好日の下に清香せいこうを放っているが訪う人もないのを嘆じている。あなたの御都合はどうか。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その老母がつくりました畑の物を少々ばかりお土産みやげに持って参りました
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)