“栽込”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うえこ66.7%
うゑこみ33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
飯はようやくおわる。膳を引くとき、小女郎が入口のふすまあけたら、中庭の栽込うえこみをへだてて、向う二階の欄干らんかん銀杏返いちょうがえしが頬杖ほおづえを突いて、開化した楊柳観音ようりゅうかんのんのように下を見詰めていた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
庭の一隅いちぐう栽込うえこんだ十竿ともとばかりの繊竹なよたけの、葉を分けて出る月のすずしさ。月夜見の神の力の測りなくて、断雲一片のかげだもない、蒼空あおぞら一面にてりわたる清光素色、唯亭々皎々ていていきょうきょうとしてしずくしたたるばかり。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
中町の通では刈込んだ綺麗な垣、槇や檜の多い栽込うゑこみの中の木犀のかをり、そこから見た富士の姿は、東京でも多く他に見ることが出来ないやうな美しさを備へてゐた。
紅葉山人訪問記 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)