根引ねびき)” の例文
云ふにも金銀づく外へ根引ねびきをさるゝ時はとてもいきては居られぬと小夜衣が一の心それや是やを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
根引ねびきの相談までするらしい……向島が、どうしましょうッて私に聞きますから、そんなことをおれに相談する奴が有るもんか、どうでもお前の勝手にするサ、そう私が言ってやった……でも
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一種の見得みえのようにして、それらの美女を根引ねびきし、なんの用意もなく家婦とし、子女の母として得々としたことが、市民の日常、家庭生活の善良勤倹な美風をどんなに後になって毒したかしれない。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
三浦やの遊女空蝉うつせみ同人が根引ねびきいたし妻となりしゆゑに存じ居ますと言にぞ其のものつま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
幸ひにみせの有金の内五十兩養父やうふかすめ彼小夜衣を根引ねびきかこひ置て自儘に我が家内にもせん者と思ひ居たる心より村井長庵の惡計あくけいかゝ夫而已それのみならず金と引替に長庵より受取置たる證文を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)