柔弱かよわ)” の例文
その貴婦人はやはり前に見たごとく三尺四方の厚い首枷くびかせめられて居る。その首枷が柔弱かよわい貴婦人の肩を押え付けていかにも苦しそうに見えて居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あの狂氣きちがひのやうに立騷たちさわいで多人數たにんずうあひだけて、この柔弱かよわ夫人ふじん少年せうねんとを安全あんぜん端艇たんてい送込おくりここと出來できやう? あゝ人間にんげんはいざと塲合ばあひには、恥辱はぢ名譽めいよもなく、まで生命いのちしいものかと
かかる柔弱かよわい尊い婦人は誰であるかといいますと、これはこのチベットでは一番旧い家として、そうして貴族中でも最も利者ききものとして世人の尊崇を受けて居るドーリンという名家の令嬢であったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)