染分そめわけ)” の例文
陶土の質がとても硬く、ほとんど磁器に近い強さがあります。そこの染分そめわけの皿や鉢などはさいわいにも広く流布るふされました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
余の書窓しょそうから西にながむる甲斐かい山脈さんみゃくして緑色近村きんそんの松のこずえに、何時の程からか紅白染分そめわけの旗がひるがえった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天井界の住人黒皮忠兵衛殿が一夜ひそかに領内巡察のみぎり、あやまつて大道に放尿したる違警罪の罪跡が、歴然として雲形に五六の斑点を印し、総体が濃淡の染分そめわけすすびわたりて
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
柿色に蝶鳥てふとりを染めたる大形の裕衣ゆかたきて、黒襦子くろじゆす染分そめわけ絞りの昼夜帯ちうやおび胸だかに、足にはぬり木履ぼくりここらあたりにも多くは見かけぬ高きをはきて、朝湯の帰りに首筋白々と手拭てぬぐひさげたる立姿を
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
染分そめわけふさだけも、目障りになるまいという、しおらしいんだね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)