松浦まつうら)” の例文
しかし抽斎は玄丈よりも広く世に知られていたので、人がその殊遇しゅぐうめて三年前に目見をした松浦まつうら壱岐守いきのかみはかるの臣朝川善庵あさかわぜんあんと並称した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
が、空はまるで黒幕でも垂らしたように、しい松浦まつうらの屋敷の上へ陰々と蔽いかかったまま、月の出らしい雲のけはいはいまだに少しも見えませんでした。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たからはなんでも千というかずをそろえてつものだそうた。奥州おうしゅう秀衡ひでひらはいいうまを千びきと、よろいを千りょうそろえてっている。九州きゅうしゅう松浦まつうら太夫たゆうゆみを千ちょうとうつぼを千ぼんそろえてもっている。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しひ松浦まつうら」のあつた昔はしばらく問はず、「江戸の横網よこあみ鶯の鳴く」と北原白秋きたはらはくしう氏の歌つた本所ほんじよさへ今ではもう「歴史的大川端おほかははた」に変つてしまつたと言ふ外はない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)