来世らいせ)” の例文
旧字:來世
来世らいせというのはいったいどこにあるんだ。ナニ、魂だけが来世へ行く? さあ誰がその魂を見た、その魂が来世とやらへ行って何をしているんだ。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
来世らいせの帳尻かい? それは又来世へ行った時の話だろう。生きているものは積極的に生きて行く外に仕方がない」
人生正会員 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いかに罪業ざいごうのふかい女子の身とて、尊い阿闍梨の教化を受けましたら、現世げんせはともあれ、せめて来世らいせは心安かろうにと、唯そればかりを念じておりまする
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あゝしかしあなたの悪夢のような、ご生涯しょうがいは終わりました。静かな平和な来世らいせがあなたを待っているように! (つくづくと俊寛の顔を見る)何という恐ろしい死に顔だろう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
境遇が悪いんだきっと。僕は一生が大事だと思いますよ。来世らいせがあろうが過去世かこせがあろうがこの一生が大事だと思いますよ。生きがいがあったと思うように生きて行きたいと思いますよ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
この人が来世らいせに生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「宮、待つてゐろ、俺も死ぬぞ! 貴様の死んでくれたのが余り嬉いから、さあ、貫一の命も貴様に遣る! 来世らいせで二人が夫婦に成る、これが結納ゆひのうだと思つて、幾久いくひさしく受けてくれ。貴様も定めて本望だらう、俺も不足は少しも無いぞ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それは年が若いからさ。無理もない。我輩のような独身ものはそこへ行くと楽だ。次に死は来世らいせへの解脱げだつなりという考え方がある。我輩はこれでも結構だ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
静かにごうのつきるのを待ち平和な来世らいせをお迎え遊ばすよう、私はひたすら祈ります。今あなたの心に起こっていることは世にも恐ろしいことでございます。あなたの来世を魔道に落とさぬよう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「それから間もなくお母さんが又お見えになって、今度は名乗り合いましたのよ。来世らいせはお隣り同志でしょうから何うぞ御別懇ごべっこんになんて御冗談を仰有いましたわ」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
(ふるえる)わしの魂の来世らいせの行く先を暗示してでもいるようだ!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「他ならぬ君のことだ。何かの因縁だよ。半座はんざを分けて来世らいせまで附き合おう」
変人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「いや、時間的にも一夫多妻だ。基督信者は来世らいせを信じるんだろう?」
人生正会員 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)