杜国とこく)” の例文
畠村には俳人杜国とこくの墓がある。それが秋から冬にかけて村の人の刈草の下に深く埋められて了つてゐるのは、旅客に詩を思はずには置かぬであらう。
伊良湖岬 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
いはんや門人の杜国とこくとの間に同性愛のあつたなどと云ふ説は畢竟ひつきやう小説と云ふ外はない。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
朝鮮のほそりすゝきのにほひなき 杜国とこく
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
たそがれを横にながむる月細し 杜国とこく
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
杜国とこく亡びてクルーゲル今また歿ぼっす。瑞西すいっつるの山中に肺にたおれたるかれの遺体いたいは、故郷ふるさとのかれが妻の側にほうむらるべし。英雄の末路ばつろ、言は陳腐ちんぷなれど、事実はつねに新たなり。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
はやり来て撫子なでしこ飾る正月に 杜国とこく
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あるじはひんにたえし虚家からいえ 杜国とこく
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)