未聞みもん)” の例文
弁護士の話によるとそういうことは前代未聞みもんのことであり、おそらくは非常に侮辱的なことでもあろうが、訴訟における自分の骨折りが
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
事実、時平が此の大納言の所へ年頭の礼を述べに来るなどゝ云うことは、かつて前例がないばかりでなく、前代未聞みもんの事件と云っても差支えない。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一つ朝に、同じ場所へ三人もの捨て子をするとは、なにごとも日の本一を誇る江戸においても、まさに古今未曽有みぞう前代未聞みもんのできごとだったからです。
打ち通すそうじゃが、かような例は、玉村千之丞河内かわち通いの狂言に、百五十日打ち続けて以来、絶えて聞かぬ事じゃ。七三郎どのの人気は、前代未聞みもんじゃ
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
おおかた智慧者ちえしゃの板倉殿も、このたびの不思議な盗難には手の下し様が無く、やけっぱちで前代未聞みもんの太鼓のお仕置きなど案出して、いい加減にお茶を濁そうという所存に違いない
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「いや、大笑いにも、なんにも。あんなおもしろいことは前代未聞みもんさ。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
共々、二年のあいだ、籠城中の皆のはたらきは、前代未聞みもんのことであった。草木の根を食い野鼠死馬の骨をねぶりおうて戦ったことも、今はなつかしくもあり、正しく武門のほまれといえるものぞ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有王 あの清盛の前代未聞みもん暴逆ぼうぎゃくが天罰を受けずにはおきますまい。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
まこと前代未聞みもんといってもいい不審きわまりない事件が、突如この品川宿において勃発いたしました。
藤十郎の芸に取って、其処そこに新しい世界が開かれた。がそれと同時に、前代未聞みもんの狂言に対する不安と焦慮とは、自信の強い彼の心にもきざさない訳には行かなかった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼が述べた前代未聞みもんの言葉、すなわち尋問は無益であって、なんの効果もないし、またなんの効果もあげることはできないということ、もうけっして出頭はしないということ
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
「金兵衛さん——前代未聞みもんの冬ですかね。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
願書でそのことをしつっこく迫るのは——私はそれを要求したわけですが——まったく前代未聞みもんのことだし、そんなことをしたら私もあの人も破滅してしまうだろう、と言うのでした。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)