木原店きはらだな)” の例文
渠はこの二つの品に半襟を一つ加へてやり、これが代金を拂つてから、食堂で木原店きはらだな汁粉しるこを取り寄せた。
勿論其の住民の階級職業によつて路地は種々しゆ/″\異つた体裁をなしてゐる。日本橋ぎは木原店きはらだな軒並のきなみ飲食店の行灯あんどうが出てゐる処から今だに食傷新道しよくしやうじんみちの名がついてゐる。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これも名高い日本橋の木原店きはらだなの寄席で私に三月、真打とりをとらせてくれるという話がふって湧きました。
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
こんな事で時間がかかって帰りは夕飯ゆうめしの時刻になりました。奥さんは私に対するお礼に何かご馳走ちそうするといって、木原店きはらだなという寄席よせのある狭い横丁よこちょうへ私を連れ込みました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
木原店きはらだなの沢屋だ、知らないことがあるものか、たいそうな物持だというじゃないか」
勿論その住民の階級職業によって路地は種々異った体裁ていさいをなしている。日本橋際にほんばしぎわ木原店きはらだな軒並のきなみ飲食店の行燈あんどうが出ている処から今だに食傷新道しょくしょうじんみちの名がついている。
次に本場ほんば寄席よせれて行つてやると云つて、又細い横町へ這入つて、木原店きはらだなと云ふ寄席よせがつた。此所こゝで小さんといふ話しを聞いた。十時過ぎ通りへ出た与次郎は、又
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
次に本場の寄席よせへ連れて行ってやると言って、また細い横町へはいって、木原店きはらだなという寄席を上がった。ここでさんという落語家はなしかを聞いた。十時過ぎ通りへ出た与次郎は、また
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)