朋党ほうとう)” の例文
政党というのは、通常は近代の議会政ないし民主政を前提としているもので、普通は徒党とか、朋党ほうとうとか、派閥はばつなどと区別される。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
朋党ほうとうを結び団隊を作って、権力や金力のために盲動もうどうしないという事なのです。それだからその裏面には人に知られないさびしさも潜んでいるのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人の弱点を利用したり、朋党ほうとうを作って人をおとしいれたり、一歩でも人の先に出よう出ようとのみあくせくしている。実にあさましく感じたですよ。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
頼朝が逝去せいきょするとともに、頼家が家督かとくを相続したが、朋党ほうとう軋轢あつれきわざわいせられて、わずかに五年にして廃せられ、いで伊豆の修禅寺しゅぜんじ刺客しかくの手にたおれた。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
都門ともんの劇場に拙劣なる翻訳劇出づるや、朋党ほうとう相結あいむすんで直ちにこれを以て新しき芸術の出現と叫び、官営の美術展覧場にいやしき画工ら虚名のしのぎを削れば、猜疑さいぎ嫉妬しっとの俗論轟々ごうごうとして沸くが如き時
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これに反してもっとまじめで真剣なだけにいちばん罪の深い人間的な宣伝の場合と思われるのは、避くべからざる覊絆きはんによって結ばれた集団の内部で、暗黙のうちに行なわれる、朋党ほうとうの争いである。
神田を散歩して (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
朋党ほうとうの乱はその結果であった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
都門ともんの劇場に拙劣なる翻訳劇づるや、朋党ほうとう相結あいむすんで直ちにこれを以て新しき芸術の出現と叫び、官営の美術展覧場にいやしき画工ら虚名のしのぎを削れば、猜疑さいぎ嫉妬しっとの俗論轟々ごうごうとして沸くが如き時
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)