暴馬あれうま)” の例文
筋骨すじぼね暴馬あれうまから利足りそくを取ッているあんばい、どうしても時世に恰好かッこうの人物、自然淘汰とうたの網の目をば第一に脱けて生き残る逸物いちもつと見えた。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
馬は張り切った勢いであばれまわった。暴馬あれうまうまやに押しこめるよりほかはない。外記は支配がしらの沙汰として、小普請組という厩に追い込まれることになった。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
暴馬あれうまは街はづれにて、立木に突きあたりて止まりぬ。車中よりは、人々齡よはひ四十の上を一つ二つえたる貴人の驚怖のあまりに氣をうしなはんとしたるを助け出だしき。
彼は手綱たづなの切れた暴馬あれうまのように、むやみに鬣毛たてがみを振り立てて狂い廻っているのを無上の楽しみとしていた。彼は自分の野性を縦横無尽に発揮して、それを生き甲斐のある仕事と思っていた。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)