早死はやじに)” の例文
「世の中は自由にならん者でのう。三毛のような器量よしは早死はやじにをするし。不器量な野良猫は達者でいたずらをしているし……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしたもんだらう、一人ひとり一人ひとり生命保険へ入つて貰つて、早死はやじにさせた上、どつさり保険金を贈つたら申分がないのだが、さうもかないしな……」
わが家の悪癖、かならず亭主が早死はやじにして、一時は、曾祖母、祖母、母、叔母、と四人の後家さんそろって居ました。わけても叔母は、二人の亭主を失った。
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「昔は女房子もありましたが、女房も伜も早死はやじにをして、今では私一人殘つてしまひました。いづれは、死ぬまで御當家の御厄介になることでございませう」
山楽は山楽でなければならないはずのものだ——永徳は早死はやじにをしたが、山楽は長生ながいきをした、およそ長生すれば恥多しということを、沁々しみじみと体験したもの山楽の如きはあるまい。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此の左大臣が有為ゆういの材を抱いて早死はやじにをしたのは、積る悪業の報いであるように当時の人々は見たのであるが、就中なかんずくその報いの最たるものは、菅公かんこう怨霊おんりょうたたりであるとされたのであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
早死はやじにを心懸けている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)