早桶はやおけ)” の例文
昨夜の家が藻脱もぬけの空、がらんどう、入れておいた早桶はやおけぐるみ死人も女房も影を消しているのに、二度びっくり蒸返しを味わった。
多賀屋の二階二た間をち抜き、善美を尽した調度の中に、まばゆいばかりの銀燭に照されて、凄まじくも早桶はやおけが一つ置いてあったのです。
行列はまだ尽きないのかと、また背延せいのびをして見下みおろした時、自分は再び慄とした。金盥かなだらいと金盥の間に、四角な早桶はやおけはさまって、山道を宙に釣られて行く。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それとも……それとも愛子の目が憎々しく笑っているその前で眠るように息気いきを引き取りましたか。どんなお葬式が出たんです。早桶はやおけはどこで注文なさったんです。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
四尺四方もある大きな早桶はやおけかついで、跡から龕灯がんどうを照しました武士さむらいが一人附きまして、頭巾面深まぶかにして眼ばかり出して、様子は分りませんがごた/\這入って来ました。
自分の船に大一番の早桶はやおけを積み、諸人を嫌がらせながら、川筋を上へ下へとたった一人でぎ廻っておりましたが、それもどうしたのか
花魁はそれを見るとすぐに血があがっておめでたく成っちまったんですが、その死んだ花魁に死んだ赤子ねゝさんを抱かせて、早桶はやおけへ入れる時には、実に目も当てられない始末で
その間お近さんだけが、皆んなに内證ないしよで離屋へ來て、おいらがお寺へ、お母さんが早桶はやおけ屋や荒物屋へ線香やお供物を買ひ集めに出かけてゐる間、佛樣のとぎ
○「早桶はやおけうめちまった奴が桶の中でお前さんを呼んだのかね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それから御隱居さんが孝吉さんと二人で取りさばいて、早桶はやおけ屋からお寺樣まで掛け合つた樣子で、御主人は申す迄もなく、私も新六さんも和助さんも口を出すひまもありやしません」