旧阿蒙きゅうあもう)” の例文
進歩性の霊魂は、決して呉下ごか旧阿蒙きゅうあもうではない。かの頑冥不霊がんめいふれいな霊魂のみがいつまでも現世的迷妄の奴隷として残るのである。
ファラデーは再び王立協会に帰って、以前と同じ仕事をやりだしたが、ファラデーその人はというと旧阿蒙きゅうあもうではなかった。
今日に至るまでこれを思考することができなかったとすれば、おそらくは死に至るまで、わたくしは依然として呉下ごか旧阿蒙きゅうあもうたるに過ぎぬであろう。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
流沙河りゅうさがの水を出てから、いったいどれほど進歩したか? 依然たる呉下ごか旧阿蒙きゅうあもうではないのか。この旅行における俺の役割にしたって、そうだ。
文学部に這入ってからも、三角同盟の制裁は依然としていて、児島と僕とは旧阿蒙きゅうあもうであった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
同輩の者達がだんだん出世するのに自分だけ呉下の旧阿蒙きゅうあもうでいるのは余り腑甲斐ふがいなくもあるし、その後子供たちの数も殖えて、生活費がかさんで行く一方、経済界の変動や何かで
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
だが、芦田君が、もう少し政治家的俗才があったならば、夫人が読んでいるのを、しばらく失敬して「私が愛読している」といってくれたら、旧阿蒙きゅうあもうの老胡堂が、よき友人を持ったことに感激するだろう。