旧怨きゅうえん)” の例文
旧字:舊怨
現在の弘徽殿の女御の嫉妬しっとの対象は藤壺の宮であったからそちらへ好意を寄せる源氏に、一時忘れられていた旧怨きゅうえんも再燃して憎しみを持つことになった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今日のりきみは身をそん愚弄ぐろうまねくのなかだちたるを知り、早々にその座を切上げて不体裁ぶていさいの跡を収め、下士もまた上士に対して旧怨きゅうえんを思わず、執念しゅうねん深きは婦人の心なり
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
旧怨きゅうえんを捨て、以来不遇にあると聞いた旧友平田賛五郎に、今度の通し矢の機会に、ぜひ共汚名をそそいでもらいたい——そして以前の藩地へ戻ってもらいたい——と
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さあ、時局もどうなりますか。尊王佐幕の大争いも、私闘に終わってはつまりません。一、二の藩が関ヶ原の旧怨きゅうえんを報いるようなものであってはなりませんね。どうしてもこれは、国を
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
周防すおうの地で五千石の知行ちぎょうを与えよう。旧怨きゅうえんをわすれて、長く毛利家に仕える心はないか」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)