日脚ひざし)” の例文
木振賤きぶりいやしからぬ二鉢ふたはちの梅の影を帯びて南縁の障子にのぼり尽せる日脚ひざしは、袋棚ふくろだなに据ゑたる福寿草ふくじゆそうの五六輪咲揃さきそろへるはなびらに輝きつつ、更に唯継の身よりは光も出づらんやうに
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お峯は苦笑にがわらひしつ。あきらかなる障子の日脚ひざしはそのおもて小皺こじわの読まれぬは無きまでに照しぬ。髪は薄けれど、くしの歯通りて、一髪いつぱつを乱さず円髷まるわげに結ひて顔の色は赤きかたなれど、いと好くみがきてきよらなめらかなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)