つくり)” の例文
鼠(ねずみ)の上の処はうすなり。しかるにこの頃ろうの字を書く人あり。後者は蠟獵臘などの字のつくりにて「ろふ」「れふ」の音なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ことに漢字では女の字をへんまたはつくりに含めるものは、むろん善意を含めることなきにあらざるも、多くの場合むしろ悪意を含ましている。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「ははあなるほど、そうであったか。扁を取ったりつくりを取ったり、色々にして造った字だな。いかさまこれでは解らないはずだ」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、まあ苦心談は抜きにして、早速結論を示すことにしようね。つまりこれは漢字の字劃がキイなんだよ。それも偏とつくりを別々に勘定するんだ。
黒手組 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「銕」の字はつくりが「夷」に従っている。夷は東方異族の称で、「銕」はすなわち東夷の金の義である。東方の国早くこの金属を産し、シナに輸入したものと見える。
馬の額に「賦」の字を書き、つくりの「武」の字の点を船の中へすつべし。乗ること奇妙なり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
へんつくりが重なり合ったり離れ過ぎたりして一見盲人の書いたのが点頭うなずかれるのもある。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そう云って萩丸は「木」を書いたが、今度はつくりを目茶目茶に書き、けっきょく「様」という字は書けなかった。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
婦人は普通の俗字だも知るはまれにて漢字からもじ雅言がげんを知らず仮名使てにをはだにもわきまへずへんつくりすらこころ得ざるに、ただ言語ことばをのみもて教へてかかするわが苦心はいふべうもあらず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
次に「䥫」のつくりの「截」は「切」だ。その金属で作った刃物の切れ味が、従来の青銅器の刃物よりも鋭利であることを意味する。シナでは鉄器時代の前に青銅器時代があった。
(略)賴瀨獺懶等のつくりは負なりおおがいにあらずとせられ候へども負にあらず※の字にて貝の上は刀に候勝負の負とは少しく異なり候右等の字はらつより音生じ候また※の下は壬にあらず※(音テイ)に候※※等皆同様に御座候右些細の事に候へども気付たるまま(一老人とうず
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)