数次しばしば)” の例文
旧字:數次
いつぞはこの川の出ずるところをもきわめ、武蔵禰乃乎美禰といにしえの人のみけんあたりの山々をも見んなど思いしことの数次しばしばなりしが、ある時は須田の堤の上
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
はばかるところ無くもうしける。されど燕王答えたまわねば、数次しばしば書をたてまつりけるが、皆かい無かりけり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
枝路のことなればひろからず平かならず、が造りしともなく自然おのずと里人が踏みならせしものなるべく、草に埋もれ木の根に荒れて明らかならず、迷わんとすること数次しばしばなり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それに引替へ兄はまた数次しばしば弟に財を与へしより貧しくなりて自らささへがたきに及び、かつて与へしこともあれば今は弟に少時しばしのところを助けてもらはむと、弟のところにいたりて
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
父上の遺訓にも背きしのみか数次しばしば来りて財を乞ふ段、弟とはいへ奇怪なり、貧しくなりて苦むも皆自らの心がらぞ、この度だけは十万銭を例のごとくに与ふべけれど以後は来るとも与ふまじきぞ
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)