放蕩三昧はうたうざんまい)” の例文
蘿月らげつは一家の破産滅亡めつばうむかし云出いひだされると勘当かんだうまでされた放蕩三昧はうたうざんまいの身は、なんにつけ、禿頭はげあたまをかきたいやうな当惑たうわくを感ずる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
常に友達の為めに借金を背負しよはされて居た程です、うも日本では今以て、鍛冶工かぢこうなど云へばただちに乱暴な、放蕩三昧はうたうざんまいな、品格の劣等の者の如く即断致しますが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
これまではなんの気もなく母親からもまた伯父をぢ自身の口からも度々たび/\聞かされてゐた伯父をぢ放蕩三昧はうたうざんまいの経歴が恋の苦痛を知りめた長吉ちやうきちの心にはすべて新しいなにかの意味をもつて解釈されはじめた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)