そゝ)” の例文
新字:
夕日ゆふひは低く惱ましく、わかれの光悲しげに、河岸かし左右さいうのセエヌがはかは一杯いつぱいきしめて、むせんでそゝさゞなみに熱い動悸どうきを見せてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
威勢ゐせいよく反身そりみになつてゐる花もある、しよんぼりと絶え入つてゐる花もある、その花屋の前を通りすがると、妙に氣をそゝる意地の惡い香がした、胸苦しいほど不思議の香がした。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
おかみさん、なんでも花はそこにあるよ。後生ごしやうだ取つてお呉れ。その妙に氣をそゝる意地の惡い香が、通りすがりにしたばかりで、こゝへ入つて來たんだ。私のいふ愛と恨のその花を取つてお呉れ。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
「夏」の歌「秋」をそゝりぬ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)