揣摩臆測しまおくそく)” の例文
かの神学的揣摩臆測しまおくそくや、かの独断的戒律、並に定義は、一意光明を求むる、あわれなるものどもを苦しめ、惑わせ、かれ等をして
傷つけのろうようなかたむきがありにわかにことごとくを信ずる訳に行かない乳母の一件なども恐らくは揣摩臆測しまおくそくに過ぎないであろう。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『判じ物か。やれやれ、種々さまざま揣摩臆測しまおくそくされることじゃ。というて、衣食の途を求めるには、世間の中に住まねばならず』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この二つの事件が、外では広くもあらぬ高山の天地を震駭しんがいさせ、揣摩臆測しまおくそく流言蜚語りゅうげんひごといったようなものが満ち渡るのに、この屋敷の内部での動揺驚愕は如何いかん……
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小説以上に仕組んで語るものもあれば、口さきでドラマにつくりあげて説明するものもある。いずれも揣摩臆測しまおくそくのかぎりをつくしてこの問題は長いこと社会の興味を呼んだ。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
人々の揣摩臆測しまおくそくは、一日ましにたかまっていた。——ここ数年、ご父子は遠く別れあって、流離艱難かんなん、ただ今日のために戦って来られたものであろうに、なぜ、何はおいても
或いはもう一人のお妾のためにちょうを奪われたその恨みだとも言い、またはこのお妾に別に情夫があって、それとまた他の女との鞘当さやあての恨みだとも言い、揣摩臆測しまおくそくはしきりでしたけれども
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これで、巷の揣摩臆測しまおくそくも、一掃されていいはずである。一般の疑いも解けたはずだ。
そして、それらさまざまな揣摩臆測しまおくそくから噂の疾風はやてが、夜半ごろには果然、戦だ! ……という魔のかたちになり、主謀者は、宮将軍の大塔ノ宮とも、あきらかにされ出してきたのだった。
巷間こうかん、噂まちまちで、変な揣摩臆測しまおくそくも行われているからだった。しかし今、信長のあっさりした返辞やこだわりのない姿を見ては、ちまたの取沙汰はすべて無用な思いわずらいに過ぎないものと否定された。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いろいろに揣摩臆測しまおくそくしあった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)