持扱もちあつか)” の例文
室借まがりだといふのに何の不思議があらう、博士はうちに居る時は、山のやうな書物の蔭で、あの小さな身体からだ一つを遠慮して持扱もちあつかつてゐる。
お松 いくらあたしだって、真逆まさかあの無法者の前じゃ、迂闊に口をきやしませんよ。お蔦さんのいい草じゃないが、体をやくざに持扱もちあつかってしまっても、まだこれで命は惜しいや。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「なにしろ玩具おもちゃなんてものを不断持扱もちあつかわないので、子供の騒ぎは大変だそうですよ。」
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
「菊家へこうよ、私がお客で。大したお大尽だいじんだわね、お小遣を持扱もちあつかって。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何と言つてもゴオルドスミスの事だ、唯もう神様のお力にすがるよりほかには、病人の持扱もちあつかひを知らなかつた程結構な医者だつたに相違ない。
(寝ようちゃあ、寝ようちゃあ、)とよたよた体を持扱もちあつかうわい。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)