押取巻おっとりま)” の例文
事ありと見て、乗ろうとしたのもそのまま足を留めて、押取巻おっとりまいた。二人ばかりおんなも交って。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
てこでも動かぬにこうじ果てて、すっぱすっぱ煙草たばこを吹かすやら、お前様、くしゃみをするやら、向脛むかはぎたかる蚊をかかと揉殺もみころすやら、泥に酔った大鮫おおざめのような嘉吉を、浪打際に押取巻おっとりまいて、小田原評定ひょうじょう
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顔の色はあおざめて、乱髮みだれがみ振りかかれるなかに輝きたるまなこの光のすさまじさ、みまもり得べきにあらず。夥兵くみこ立懸たちかかり、押取巻おっとりまく、上手かみて床几しょうぎを据えて侍控えいて、何やらむいいののしりしが、たきぎをば投入れぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぶてのごとくばらりと出で、腕車の周囲めぐり押取巻おっとりまく。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)