折箱おりばこ)” の例文
石も、折箱おりばこふた撥飛はねとばして、笊を開けた。「御免よ。」「御免なさいよ。」と、雀の方より、こっちが顔を見合わせて、悄気しょげつつ座敷へ引込ひっこんだ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
試験所前のまげものや折箱おりばここしらえる手工業を稼業かぎょうとする家のはなれの小座敷ざしきを借りて寝起きをして、昼は試験所に通い、夕飯後は市中へ行って、ビールを飲んだり
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
小侍は、愴惶そうこうとして、脇玄関から門の外へ駈けて行った。その様子では、たった今の事らしいのである。多門伝八郎は、自分の前にある折箱おりばこ忌々いまいましげに横のほうへ押しやった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんな料理屋でも折箱おりばこ位いはくれるというだろう。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)