我孫子あびこ)” の例文
我孫子あびこから利根川をひとつ越すと、こゝはもう茨城県で、上野から五十六分しかかゝらぬのだが、取手とりでといふ町がある。
居酒屋の聖人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
布川ふかわから布佐ふっさへ、それから中峠なかびょうから我孫子あびこへ出て行く竜次郎の見込みで有ったので、市崎から、椎塚下しいづかした、畑や田の間の抜路々々と急いだので有った。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
先刻高梨を訪ねたら、二十六号の船長「我孫子あびこ君」が来て、二つの縁談にはさまって困っている苦情を述べに来た。
我孫子あびこ驛にて、佐原行の汽車に乘換ふると共に、辨當を買ひ、瓢酒を飮みながら、之を食ふ。
三里塚の桜 (旧字旧仮名) / 大町桂月(著)
彼の我孫子あびこ村荘そんそうは園は森林のごとく、晴れたる朝に先生おのを提げて下り立ち、数十本の無用の樹をり倒すと、その中に往々にして自然の鳥の巣を見出すという実状なるにもかかわらず
日本橋から三里、新宿にいじゅくとなる。新宿から一里、松戸となる。松戸から三里、小金こがねの宿。小金から三里、我孫子あびことなる。ずっと行けば、水戸みとへ出る。これすなわち水戸街道。今日の里程とはだいぶ違う。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我孫子あびこ、谷口別邸。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
やがて私の長兄の家は、茨城県布川町から利根川を隔てた千葉県の布佐ふさ(現我孫子あびこ市)へと移った。兄は布川に永住する気は最初からなく、ある程度の産を成した上で帰郷する心積りであった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)