慮外りょがい)” の例文
しかし、「いき」のうちには「慮外りょがいながら揚巻あげまき御座ござんす」という、曲線では表わせない峻厳しゅんげんなところがある。冷たい無関心がある。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
邪見じゃけんな口のききようだねえ、阿魔だのコン畜生だの婆だのと、れっきとした内室おかみさんをつかめえてお慮外りょがいだよ、はげちょろじじい蹙足爺いざりじじいめ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
よって不肖ふしょうわたくしが家老の職につき、御養育に専念いたしておりましたところ、この春ごろから慮外りょがいな風説を耳にいたすようになりました
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
(祝賀の席上、稲葉山に滅亡の影が迫っているなどとは。……慮外りょがいも慮外。……伊賀殿には、御当家の亡ぶのを、願うてあらッしゃるのか!)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慮外りょがいものめ! 名をなのれ! 城代石藤左近将監なるぞ! あやまって人ちがいすな!」
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
遠慮、遠慮、遠慮! 昔だったらわたしなど、下々げげものがこんなことを言ったら、慮外りょがいものと、ポンとやられてしまうのであろうが、みんなが武子さんをいとしむ愛しみかたがわたしにはものたらない。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「ああ。左様か左様か。それは慮外りょがい致した」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
月の顔蹈むは慮外りょがいぞ雲の足 親重ちかしげ
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「これは慮外りょがいであった。」
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「降服をすすめるのか。戦の前に、不吉なことば。あまつさえ、己を知らんなどとは、慮外りょがいな奴」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、それにせよ、谷忠兵衛の諫言かんげんは、元親にとって、慮外りょがいなる暴言としか、聞えなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「主すじの姫へむかって、いわしておけば、慮外りょがいなことを」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慮外りょがいであろう」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慮外りょがいあるな」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)