愁歎しうたん)” の例文
我家のともしびが消えたと云つて愁歎しうたんしてらしたのですよ、紀念かたみの梅子を男の手で立派に養育して、雪子の恩に酬ゆるなんて吹聴ふいちやうして在らつしやいましたがネ、其れが貴郎あなた
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
パリス ありゃ追放つゐはうされた高慢かうまんなモンタギューめぢゃ。彼奴あいつ從兄いとこころしたゆゑ、うつくしい戀人こひゞとが、愁歎しうたんあまりにおにゃったといふこと。こゝへをったは、死骸しがい侮辱はづかしめくはへようためでがな。
愁歎しうたんのいはれをりて泣き入りぬ。
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
僕は実に失望落胆の為めほとんど発狂するばかりに精神を痛めたです——乍併しかしながら更に退しりぞいて考へると、れはいたづらに愁歎しうたんして居るべき時でない、僕の篠田を崇拝したのは其の主義に在るのだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)