トップ
>
惰力
>
だりょく
ふりがな文庫
“
惰力
(
だりょく
)” の例文
土埃をたてて斜面を
駈
(
か
)
け下ると、
惰力
(
だりょく
)
で危うく池の中に飛びこみそうになったが、岸にある
無花果
(
いちじく
)
の樹にようやくつかまった。顔見合わせ大声立てて笑った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
斬り開かれた腹部から中庭の石に
臓腑
(
ぞうふ
)
がつかみ出されていたにかかわらず、どくっどくっと、死直後の
惰力
(
だりょく
)
的
動悸
(
どうき
)
を打って、あたたかい血を
奔出
(
ほんしゅつ
)
させていた。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
降りそうな
気勢
(
けはい
)
などは、少しも見せなかった青年が、突然立ち上ると男らしい活溌さで、素早く車掌台へ出ると、まだ
惰力
(
だりょく
)
で動いている電車から、軽くヒラリと飛び降りた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その用心か
惰力
(
だりょく
)
かなにかで文句を言い、石の一つも投げてみようという手ずさみは、まあわかっているが、もうこの通り、馬も取鎮めてしまって、そうして穏かに
曳
(
ひ
)
いて帰ろうてえのに
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは今回の総力
比島
(
ひとう
)
攻撃に用意した物量が非常に大きかったから、その
惰力
(
だりょく
)
で今は敵を押しているのだ。しかし後二週間
経
(
た
)
ち三週間経つと、この影響は深刻に戦闘力の上に加わってくる。
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
惰力
(
だりょく
)
の法則はいつのまにか苦痛という意識さえ奪ってしまった。彼は毎日無感激にこの退屈そのものに似た断崖の下を歩いている。地獄の
業苦
(
ごうく
)
を受くることは必ずしも我々の悲劇ではない。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
惰力
(
だりょく
)
で走っているのじゃないですか」
戦時旅行鞄:――金博士シリーズ・6――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“惰力”の意味
《名詞》
惰性の力。
(出典:Wiktionary)
惰
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
力
常用漢字
小1
部首:⼒
2画
“惰”で始まる語句
惰
惰気
惰弱
惰眠
惰性
惰勢
惰民
惰夫
惰鴉
惰者