惣身そうみ)” の例文
六三郎は惣身そうみに冷や水でも浴びせられたように感じて、息ももう詰まってしまいました。からだは石のようになって、ふるえることも出来なくなりました。
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
前の話があって、ゾッとして寒がっているところへ、それですから、惣身そうみに水をかけられたような思いです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
餌をねらいまた笛声を聴く時、それを拡げると喉が団扇うちわのようにふくれ、惣身そうみの三分一をててうそぶく、その状極めて畏敬すべきところからインド人古来これを神とし、今も卑民のほかこれを殺さず。
惣身そうみにうんと力をむれば、さしもの毒竜ふっつと
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
お蝶は惣身そうみの血が一度に凍るように感じられて、あわてて衾を深くかぶって枕の上に俯伏してしまうと、墨塗りのふちをつけた大きい襖がさらりとあいたらしく思われて
半七捕物帳:07 奥女中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぢん固緊しめつくれば、物々もの/\しやと苦桃太郎にがもゝたらう惣身そうみ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お糸はやはり狐の変化へんげで、その同類が自分に復讐を試みたのかと思うと、巳之助は急に怯気おじけが出て、惣身そうみが鳥肌になった。口では強そうなことを云っていても、彼は決してはらからの勇者でない。
半七捕物帳:52 妖狐伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)