トップ
>
恰幅
>
かつぷく
ふりがな文庫
“
恰幅
(
かつぷく
)” の例文
「でせう。血だらけの羽織と匕首、それに重い
渾天儀
(
こんてんぎ
)
の臺を持上げて、そんなものを隱すのは、
恰幅
(
かつぷく
)
の良い狩屋三郎でも無きや——」
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、如何なる豪傑にもせよ、子爵後藤新平なるものは
恰幅
(
かつぷく
)
の好い、鼻眼鏡をかけた、時々哄然と笑ひ声を発する、——兎に角或制限の中にちやんとをさまつてゐる人物である。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
胃弱者に見るやうな蒼黒い顏つきの、細つこい亭主にひきかへて、がつしりと
恰幅
(
かつぷく
)
のいゝ、顏色も
艶々
(
つや/\
)
して、造作もはつきりしてゐるし、男性的の聲はあけつ放しの性質そのまゝであつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ある日の暮れ方、滄洲がいつものやうに、
縁端
(
えんばた
)
で髯を
扱
(
しご
)
いていい気持になつてゐると、そこへ
恰幅
(
かつぷく
)
のいいお爺さんが訪ねて来た。つひぞ見知らぬ顔だが、その髯を見ると、流石の滄洲も
吃驚
(
びつくり
)
した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
三十二三の痩ぎす乍ら見事な
恰幅
(
かつぷく
)
。少し
月代
(
さかやき
)
が伸びて、青白い顏も凄みですが、身のこなし、眼の配り、何となく尋常ではありません。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
と、
揉手
(
もみで
)
をするのです。筋肉質の確りした中老人で、柔弱だつたといふ伜の菊次郎に比べて、これはまた、武家あがりと言つた
恰幅
(
かつぷく
)
です。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それに、この
恰幅
(
かつぷく
)
だ。部屋の中には
灯
(
あかり
)
も點いて居たことだらう。鼻の先へ來て、短刀で突いて出るのを、默つて突かせる道理はあるまい」
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざり
)
寄つたのは、
小鬢
(
こびん
)
に霜を置いた五十前後の武士。花嫁の父、秋山佐仲といふのでせう、
恰幅
(
かつぷく
)
の立派な、眼鼻立ちの整つた、物言ひの確りした人物です。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
年の頃五十七八、大町人らしい
恰幅
(
かつぷく
)
で、後ろに從へた優さ男の茂七とは、
對蹠的
(
たいしよてき
)
に堂々として居ります。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「好い男だが、
恰幅
(
かつぷく
)
もよく、力もあり、武藝の一と手くらゐは知つてゐさうでしたよ。あの醫者を音も立てさせずに締め上げるのは、容易のことぢやありませんね」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この男は四十がらみの
脂
(
あぶら
)
の乘つた
恰幅
(
かつぷく
)
で、少しは自分でも溜めて居さうな如才のない人柄です。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
年の頃は五十四五、先代の主人總兵衞の義弟で、長い間放浪生活をしたとは聽いてをりましたが、
恰幅
(
かつぷく
)
も見事、人相も福々として、大家の主人として恥かしくはありません。
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それに、聲も
恰幅
(
かつぷく
)
も男だけれど、身のこなしに、妙に柔かい丸味があるでせう」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
隣は浪人の
居留木
(
ゐるぎ
)
角左衞門、四十前後の
恰幅
(
かつぷく
)
の良い武家で、少し怖い顏をして居りますが、それが
寧
(
むし
)
ろ人の好い證據と言つてよく、話の調子も
滑
(
なめ
)
らかで、何方かと言へば、
素朴
(
そぼく
)
なうちに
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう一人の丸吉といふのは、主人の遠縁に當る掛り人で、これは二十四五の恐ろしく丈夫さうな男、血色の良い、
恰幅
(
かつぷく
)
の立派な、眠さうな眼鼻立ですが、なか/\の男振りでもありました。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
色白の立派な
恰幅
(
かつぷく
)
や、聰明らしい明るい眼、魅力と利かん氣をたゝへた、複雜な表情を持つた唇など、物馴れた平次でさへ、この年増女に對しては、何んとなく敵し難いものを感ずるのです。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十五六の立派な
恰幅
(
かつぷく
)
ですが、生れ乍らの
白痴
(
はくち
)
で、する事も、言ふ事も、皆んな定石が
外
(
はづ
)
れます。そのくせ馬鹿力があるので、いろ/\の仕事を手傳つて、町内の殘り物を貰つて暮してゐる男でした。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“恰幅”の意味
《名詞》
恰幅(かっぷく)
身体の格好。体つき。
(出典:Wiktionary)
恰
漢検準1級
部首:⼼
9画
幅
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
“恰”で始まる語句
恰好
恰
恰度
恰当
恰腹
恰形
恰服
恰々
恰人
恰好事