急先鋒きゅうせんぽう)” の例文
急先鋒きゅうせんぽうの屠犬児、玄関へ乱入する、前面を立塞たちふさぎて喰留むるは護衛の門番、「退すされ、推参な!」というをも聞かず、無二無三に推込おしこめば
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これ欧洲新思想の急先鋒きゅうせんぽうたるヴェルハアレンが郷土の美術を詠じたる最後の一章たり。フランドルはもと自由の国たり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
煮えすぎると固くなっていけない。それで、その、革命思想だがね、そいつの急先鋒きゅうせんぽうが、この留日学生だと来ているんで、問題がややこしくなる。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
かつての神仏分離の運動が過ぎて行ったあとになって見ると、昨日まで宗教廓清かくせい急先鋒きゅうせんぽうと目された平田門人らも今日は頑執がんしゅう盲排のともがら扱いである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おそらく討幕の急先鋒きゅうせんぽうをもって任ずる長州の志士たちですら意外とするところであろうと彼には思われた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを、それだのに、周さんたちは革命思想の急先鋒きゅうせんぽうだから、一面親切、一面監視だの、複雑微妙な外交手腕だの、そんな事、あんまりだと思うんです。あんまりです。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
勤王攘夷きんのうじょうい急先鋒きゅうせんぽうと目ざされた若狭わかさ梅田雲浜うめだうんぴんのように、獄中で病死したものが別に六人もある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おまけに相手は防長征討軍のにがい経験をなめ、いったん討死うちじにの覚悟までした討幕の急先鋒きゅうせんぽうだ。このしり押しには、英国公使パアクスのようなロセスの激しい競争者もある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もともと真木和泉まきいずみらを急先鋒きゅうせんぽうとする一派の志士が、天下変革のきざしもあらわれたとし、王室の回復も遠くないとして、攘夷をもってひそかに討幕の手段とする運動を起こしたのは
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しまいには、地方官の中にすら廃仏の急先鋒きゅうせんぽうとなったものがあり、従来の社人、復飾の僧侶から、一般の人民まで、それこそねこ杓子しゃくしもというふうにこの勢いを押し進めてしまった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)