応答いらえ)” の例文
旧字:應答
きっと老婦人のおもてを見たる瞳は閃然せんぜんとして星のごとく、かれいた愁色しゅうしょくありき。恐怖の色もあらわれながら、黙して一言ひとこと応答いらえをなさず。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「モシモシ、娘さん」と甲斐甲斐かいがいしく進みでた商人体の男は、少女の肩を、つっついた。無論、少女はなんの応答いらえもしなかった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「フムまた出歩行であるきか、ああ困つたもんだ。己れがてゐることも、お前がそうして苦労するのも、気にならないのかネー、モーかれこれ九時にもなるだらふ、ちよつと行つて呼んでお出で」お袖はハイと応答いらえしが
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
その安否を気づかう警官隊が、入口の扉を破れるように叩いて総一郎を呼んでいるのに、彼は死んだのか生きているのか、中からは何の応答いらえもない。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)