忍川しのぶがわ)” の例文
忍川しのぶがわの晩以来、どこも大嫌いな十手だの御用提灯だの、岡ッ引くさい眼だのが、そちらにチラついている気がしていけない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菊屋橋きくやばしのかけられた新堀しんぼりの流れ。三枚橋さんまいばしのかけられていた御徒町おかちまち忍川しのぶがわの如き溝渠である。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その万太郎が市ヶ谷の上屋敷を放逐されたのちは、当然一緒に根岸の別荘に移って、主人と共に起居しているべきでありますが、ここは忍川しのぶがわの水門じり
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第五は芝の桜川さくらがわ根津ねず藍染川あいそめがわ、麻布の古川ふるかわ、下谷の忍川しのぶがわの如きその名のみ美しき溝渠こうきょ、もしくは下水、第六は江戸城を取巻く幾重いくえほり、第七は不忍池しのばずのいけ角筈十二社つのはずじゅうにそうの如き池である。
すると、その出合いがしらに忍川しのぶがわの方から、いっさんに、バラバラッと駈けてきた二人の角兵衛獅子があった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
食べた杉箸を忍川しのぶがわへ抛り込み、からの丼をしゃアしゃアと馬春堂の手へ返して来ました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)