御茶おちゃ)” の例文
火事できのこが飛んで来たり、御茶おちゃ味噌みその女学校へ行ったり、恵比寿えびす台所だいどこと並べたり、或る時などは「わたしゃ藁店わらだなの子じゃないわ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中の小坊の手に御盆おぼんを持たせて、誰それさん御茶おちゃあがれと言わせたり、または一つ一つ手を繋いだところをさぐって、ここは何門と尋ねる問答を重ね
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今これを広重の作品に徴するにそが雪景の作中にて最も傑出せる好画図をなさしめたる処は御茶おちゃみず湯島天神ゆしまてんじん石段、洲崎汐入堤すさきしおいりづつみ芝藪小路しばやぶこうじ等にして向島むこうじま、日本橋
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ一人ひとり、木曾福島の武居拙蔵たけいせつぞう、その人は漢学者としての古賀侗庵こがどうあんき、塩谷宕陰しおのやとういん松崎慊堂まつざきこうどうにも知られ、安井息軒やすいそっけんとも交わりがあって、しばらく御茶おちゃみず昌平黌しょうへいこうに学んだが
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
長火鉢のそばに陣取って、食卓を前にひかえたる主人の三面には、先刻さっき雑巾ぞうきんで顔を洗った坊ばと御茶おちゃの味噌の学校へ行くとん子と、お白粉罎しろいびんに指を突き込んだすん子が
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私はわざわざ御茶おちゃみずの家具屋へ行って、私の工夫通りにそれを造りげさせたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
神田かんだの高等商業学校へ行くつもりで、本郷四丁目から乗ったところが、乗り越して九段くだんまで来て、ついでに飯田橋いいだばしまで持ってゆかれて、そこでようやく外濠線そとぼりせんへ乗り換えて、御茶おちゃみずから
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)