御相伴おしょうばん)” の例文
一六七六年マドリット板、ナワレッテ師の『支那記』六四頁にこの宣教師支那で鼠を食う御相伴おしょうばんをして甚だ美味と評しある。
ナニ晩餐ばんめしを食べたのちでも明日の分を繰上げると思えば何でもない是非御相伴おしょうばんしろといられたので僕も鰻飯うなぎめしは大好物なり
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ある晩、主人の少将の誕生いわいだというので、知人を呼んで御馳走ごちそうがあった。甲田君と私もその御相伴おしょうばんをした。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「どうだ——」と三吉はお雪に、「この酒は、欧羅巴ヨーロッパの南ででき葡萄酒ぶどうしゅだというが——非常に口あたりが好いぜ。女でも飲める。お前も一つ御相伴おしょうばんしないか」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
探険家シャックルトンがベルリンへ来たときペンクの私邸に招かれ、その時自分も御相伴おしょうばんに呼ばれて行った。見知らぬ令夫人を卓に導く役を云い付かって当惑した。
ベルリン大学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「これはどうも」と甲斐は坐り直した、「お眼障りかと存じておいとまを願ったのですが、お盃が頂戴できるとは果報、おゆるしのあるまで御相伴おしょうばんつかまつりましょう」
ほんとうにその鯉を取って来て下さるなら、我々もその御相伴おしょうばんにあずかりたいものだと冗談半分にがやがや云うと、お糸はどうぞ暫くお待ちくださいと云って座を起った。
半七捕物帳:44 むらさき鯉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
白仁さんのところへ暇乞いとまごいに行ったので少しおくれて着くと、スキ焼を推挙した田中君がもう来ていた。田中君も鶉の御相伴おしょうばんと見える。佐藤は食卓の準備を見るために、出たり這入はいったりする。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「オイ、ろくさん、何をぼんやりしてるんだな。ここへ来て、お前も一杯御相伴おしょうばんにあずかんねえ」
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
奥城二ノ丸において、両目付の饗応きょうおうがあり、自分も接待に出た。御相伴おしょうばんは涌谷(伊達安芸)さま。両目付に随行して来た中里道朔どうさくという医者と、兎玉玄程とで、はやしの座興があった。
僕もお登和さんも晩までいて御相伴おしょうばん
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)