御用聞ごようきき)” の例文
勝手門と台所との間には、御用聞ごようききやこの家の使用人達のものであろう、靴跡やフェルト草履ぞうりの跡が重なるようにしてついている。
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
いいえ、その女は塀の中に閉籠ってはいられなくなり、あの子を捨てて出入の御用聞ごようききといっしょに逃げてしまったのです。
遺産 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
湯帰ゆあがりに蕎麦そばめたが、この節あてもなし、と自分の身体からだ突掛つっかけものにして、そそって通る、横町の酒屋の御用聞ごようききらしいのなぞは、相撲の取的とりてきが仕切ったという逃尻にげじりの、及腰およびごし
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
張札はりふだをして、酒屋、魚屋、八百屋連の御用聞ごようききたちが往来のものに交って声高こわだかののしりちらして、そこにもいたたまれないようにさせたが、やがてその侘住居わびずまいも戸をめてしまった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
伊賀町の清水屋には、土地の御用聞ごようきき弁慶べんけいの小助が待っておりました。