御人ごじん)” の例文
「何故と云われると鳥渡ちょっと困るが、洪将軍は退職なすっても、この辺では守備隊長も遠慮する御人ごじんじゃ……君子危きに近寄らずでな」
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
「そうだなあ。まだ、先方の御人ごじんが来ていないのだろう。わしたちが、一足先に来たというわけにちがいない。やれやれ気づかれがした」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ああさようでござるか。では、六刻むつ過ぎに出なおしてお訪ね下さい。その御人ごじんは、今朝から市中へ合力ごうりきに出ておられます」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで雀たちの数を言ったついでに、それぞれの道の、学者方までもない、ちょっとわけ知りの御人ごじんうかがいたい事がある。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其中そのうちに將軍家の長州進發といふ事になつた。それが則ち昭徳院せうとくゐんといふ紀州きしう公方くぼう——慶喜けいき公の前代の御人ごじんである。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
能因 節信殿ほどの御人ごじんでも、おそらくは御存じあるまい。それは日本に二つとない珍しいもの。雉子も鳴かずば撃たれまいと歌はれて、むかしから有名の長柄ながらの橋。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「音にきこえた鬼柴田おにしばたのふところ刀、上部八風斎とはそこもとでござったか。してその御人ごじんが、なんのご用ばしあって、われわれをおめなされた」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「知らんのか。甲州武田家の御人ごじん小幡おばた入道日浄にちじょうの末で——勘兵衛景憲かんべえかげのり。——大御所に拾い出され、今では秀忠公の軍学の師として、門戸を張っておる」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何か、人違いではありませんか。いったい将軍は、いずこの御人ごじんですか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんと仰っしゃる御人ごじん?」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)