御不憫ごふびん)” の例文
墓場の掃除に男衆おとこしゆの手を助くるまで働けば、和尚さま経済より割出しての御不憫ごふびんかかり、年は二十から違うて見ともなき事は女も心得ながら
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あなたのお心持ちもわたしは身にしみてお察し申しますが、どこから見ても批点の打ちどころのない奥様のお身の上もわたしには御不憫ごふびんで涙がこぼれてしまうんでございますよ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
最前よりいろ/\事の道理を分けて御意見申上候得そうらえども、御聞入れ無之候得者これなくそうらえば、是非なき次第に候間、このまゝ手足を縛りてなりとお屋敷へ連れ帰り、御不憫ごふびんながら不義密通のうったえをなしもうすべしと
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
墓塲はかば掃除さうぢ男衆をとこしゆたすくるまではたらけば、和尚おしやうさま經濟けいざいより割出わりだしての御不憫ごふびんかゝり、としは二十からちがうてともなきことをんな心得こゝろゑながら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)