弥作やさく)” の例文
旧字:彌作
なかはま弥作やさくは、荷駄馬にだうましょうとみえる。体じゅういている所はない。背にも負ったり、手にも持ったり、首にもぶら下げて、しゃんしゃん歩く」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小石川白山はくさんのあたりに家がある。小山弥作やさく氏、直槙ちょくしんは、筆者と同郷の出で、知人はかれ獅子屋ししやさんと渾名あだなした。誉過ほめすぎたのでもありません、軽く扱ったのでもありません。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この時代の町奴の習いとして、その他の者共も並木なみき長吉ちょうきち橋場はしば仁助にすけ聖天しょうでん万蔵まんぞう田町たまち弥作やさくと誇り顔に一々名乗った。もうこうなっては敵も味方も無事に別れることの出来ない破目になった。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
次郎のそばには校番の弥作やさく爺さんが寝ていた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
茨城郡いばらきぐんの一村に、弥作やさくという愚鈍がいた。たれにいわせても、まちがいなく愚鈍なたちとされていたが、この男、ひとりの母親だけには、実に孝養をつくしている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)