ひろし)” の例文
小学校の四年へ行っているひろしを中にはさみながら、親子三人で出かけることはないでもないが、それは近頃
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と広い勝手の上り口から捨吉を見つけて呼んで入って来たのは、田辺の家の一人子息むすこだ。ひろしと言って、捨吉とはあだかも兄弟のようにして育てられて来た少年だ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京城の帝大にはひつてゐる息子のひろしとは、よく姉弟と間違へられるのも不思議はない。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ひろしさんったら、女の子の加勢ばかりしていらあ。おかしいですぜ」とひやかした。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
肉親の弟清川ひろしの事なのです。
正義 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
葬式の日には、京城からひろしも帰つて来た。郷里の熊本くまもとからは、親戚のものも二三人出て来た。告別が済んで、骨は多磨墓地たまぼちに埋めることになり、小雨の中を、自動車が二台、列を作つて走つた。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)