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引繰
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ひっく
ふりがな文庫
“
引繰
(
ひっく
)” の例文
旨
(
うま
)
くどさりと
引繰
(
ひっく
)
り返す事ができるかの問題になると、あらかじめその辺の準備をしておかなかった彼は、全くの無能力者であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕がきっとここだというところまで解いて、それで駄目だったのは、あの『あらまそーお』云々を仮名文字のまま
引繰
(
ひっく
)
りかえしたから失敗したのだ。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
解剖の結果かなり、多量の青酸が、死体の口中と胃の中から検出されましたが、それにしたところで、自殺説を
引繰
(
ひっく
)
り返すほどの結果にはなりません。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何じゃいし。」と振向くと、……亭主いつの間にか、神棚の
下
(
もと
)
に、
斜
(
しゃ
)
と構えて、帳面を
引繰
(
ひっく
)
って、苦く
睨
(
にら
)
み
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「顔は黒う
塗
(
ぬ
)
ってますが、心は同じ日本人でさア」その言葉の終らないうちに、虎さんの直球が、黒ん坊の額にはずみ、彼が
引繰
(
ひっく
)
り返ると、そのはずみに
仕掛
(
しかけ
)
が破れ
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
彼は、天を
恨
(
うら
)
むより
外
(
ほか
)
、なかった。車を下りてみると、森の向うは、まるで地獄のように、
引繰
(
ひっく
)
りかえっていた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不愉快
(
ふゆかい
)
そのもののような気持で、ベッドに
引繰
(
ひっく
)
り返ったまま、眼を閉じていると、松山さんは、なおも、手近にあった通俗雑誌を手にとり、ぼくの横にわざと、ごろりと寝て
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
彼には夫人の持ってくる偏見と反感を、
一場
(
いちじょう
)
の会見で、充分
引繰
(
ひっく
)
り
返
(
かえ
)
して見せるという覚悟があった。少くともここでそれだけの事をしておかなければ、自分の未来が危なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして
懸物
(
かけもの
)
の前に
独
(
ひと
)
り
蹲踞
(
うずく
)
まって、黙然と時を過すのを
楽
(
たのしみ
)
とした。今でも
玩具箱
(
おもちゃばこ
)
を
引繰
(
ひっく
)
り返したように色彩の乱調な芝居を見るよりも、自分の気に入った画に対している方が
遥
(
はる
)
かに心持が好い。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
繰
常用漢字
中学
部首:⽷
19画
“引繰”で始まる語句
引繰返