庸人ようじん)” の例文
一日弓を彎いた弦音つるおと以てのほか響いてかたわらにあった姙婦を驚かせ流産せしめ、その夫の梵士怒って、爾今じこん、羅摩、庸人ようじんになれと詛う。それより羅摩生来の神智を喪う。
る時は必ず其眞僞しんぎあらはるゝとむべなる哉然れ共萬一もし庸人ようじんの奉行となりて強情がうじやう奸曲かんきよくの者を調べるに於てを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ただ外見上は至極沈静端粛のていであるから、天下の凡眼はこれらの知識巨匠をもって昏睡仮死こんすいかし庸人ようじん見做みなして無用の長物とか穀潰ごくつぶしとか入らざる誹謗ひぼうの声を立てるのである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
猛虎も動物園に入れば糞豚ふんとんの隣りに居を占め、鴻雁こうがんも鳥屋に生擒いけどらるれば雛鶏すうけいまないたおなじゅうす。庸人ようじん相互あいごする以上はくだって庸猫ようびょうと化せざるべからず。庸猫たらんとすれば鼠をらざるべからず。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)