店舗みせ)” の例文
旧字:店舖
店舗みせにはみな煌々とあかりがついて、通りかかる女たちも、人も、物も、すべてこの春の黄昏たそがれの幸福な安逸と、生の楽しさとを物語っていた。
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
鼈甲べっこう屋、小間物屋といったような土蔵くらづくりの、暖簾のれんをかけた、古い店舗みせになってならびます。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
唐船からふねが帆ばしらをならべ、街には、舶載物はくさいものを売る店舗みせや、武具をひさぐ商人あきんどが軒をならべ、裏町には、京やさかいから移住して来た工匠たくみたちが、糸を染め、やじりを鍛え、陶器すえものを焼き
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麻布一之橋から白金台の方へ這入って行く、細々こま/″\とした店舗みせが目白押しに軒を並べている狭苦しい通りから、少し横丁に這入った三光町の一角に、町相応の古ぼけた写真館が建っていた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
うじも素性もわかりませんが、近所の評判もよく、店舗みせも確かで、何の仔細しさいもなく過しているうち、今からちょうど一と月前、ある夜曲者くせものが忍び込んで、入口の六畳に休んでいる市太郎老人を斬り殺し