幾星霜いくとしつき)” の例文
道理ことわりめし文角ぬしが、今の言葉にやつがれが、幾星霜いくとしつきの迷夢め、今宵ぞ悟るわが身の罪障思へば恐しき事なりかし。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
むかし深山みやまの奥に、一匹の虎住みけり。幾星霜いくとしつきをや経たりけん、からだ尋常よのつねこうしよりもおおきく、まなこは百錬の鏡を欺き、ひげ一束ひとつかの針に似て、一度ひとたびゆれば声山谷さんこくとどろかして、こずえの鳥も落ちなんばかり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)