だひら)” の例文
暮るゝを惜むかの如くしづやかに黄昏れそめた鹽田だひらの全面を見おろし、あの自分にも思ひ出の縁結びに利益のあると云ふ觀音樣の境内の石の玉垣にもたれ合つて
湖畔手記 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
そこいらで、県道がつきて、里道が谷々の部落をつなぐ、その方向におかまひなく、新しい自動車道が一筋、山腹を縫つて「たかだひら」と呼ばれる台地に通じたのが、今から五年前である。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
大剛だいがうの力者あらびぬ上つ毛の赤城だひらに雨す暴風あらし
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)