常時いつも)” の例文
氏が常時いつも博士で居られては、些少訪問者は窮屈である。全く時々には田園の長者の、質朴穏和な風貌に、接しなければ呼吸いき詰るだろう。
小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一時劇しい興奮の状態にあった頭が、少しずつしずまって来ると、先生は時々近親の人たちとことばを交しなどした。その調子は常時いつもと大した変りはなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
だがこいつは常時いつもなのである。真実の親子でありながら、お友達のような調子なのである。とても二人ながら剽軽ひょうきんなのである。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お、これは白須賀様、ようおいでくだされました。さあさあ常時いつものお座敷へな、お米さんがお待ち兼ねでござんすに」
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
墨堤すみだや小金井と事変わり仮装や騒ぎが許可ゆるされなかったので、花見る人は比較的少なく常時いつもお山は静かであった。
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
酒盛りをしている次の部屋が勘三の常時いつもいる部屋であって、高価な調度などが飾り立ててあった。その部屋までお京がはいって行った時、彼女の心を惹く物があった。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
通された常時いつもの座敷というは、この時代に珍らしい三層楼で、廓内の様子が一眼に見える。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は純粋の広東かんとん人で、常時いつもきたない支那服をまとい弁髪をさえ貯えていましたが、何ういう訳か彼女の家庭では一番勢力を持っていました。主人の彼女さえ季参の為には時々叱られる程でした。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに不思議にもその娘は常時いつも同一おんなじ節ばかりを弾いていたのでございます。
常時いつも懐中ふところに用意している小刀を引き抜くと、バラバラと縄を切り払ったが
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ある日延太夫えんだゆう常時いつものように、海舟の屋敷に招かれた。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)