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帙入
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ちついり
ふりがな文庫
“
帙入
(
ちついり
)” の例文
由雄はその時お延から
帙入
(
ちついり
)
の
唐本
(
とうほん
)
を受取って、なぜだか、
明詩別裁
(
みんしべっさい
)
という
厳
(
いか
)
めしい字で書いた標題を長らくの間見つめていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
金地の二枚屏風に土佐派の繪がやゝ剥げたのも
床
(
ゆか
)
しく、押入を開けると、夜具は絹物の
贅
(
ぜい
)
を盡して、床の間に置いた
帙入
(
ちついり
)
の千字文と
庭訓往來
(
ていきんわうらい
)
は、多分亡くなつた主人
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すなわち
傍
(
かたわら
)
なる
一閑張
(
いっかんばり
)
の机、ここで書見をするとも見えず、
帙入
(
ちついり
)
の歌の集、
蒔絵
(
まきえ
)
の
巻莨入
(
まきたばこいれ
)
、銀の吸殻
落
(
おとし
)
などを並べてある中の呼鈴をとんと強く、あと二ツを軽く、三ツ押すと、チン
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
省線
(
しょうせん
)
電車の往復するのが
能
(
よ
)
く見える
硝子窓
(
ガラスまど
)
の上には「
天佑平八郎書
(
てんゆうへいはちろうしょ
)
」とした額を掲げ、壁には日本と世界の地図とを貼り、机の傍の本箱には棚を
殊
(
こと
)
にして洋書と
帙入
(
ちついり
)
の和本とが並べてある。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
本棚の片隅には、
帙入
(
ちついり
)
の唐本の『
山谷
(
さんこく
)
詩集』などもありました。真中は洋書で、医学の本が重らしく、一方には
馬琴
(
ばきん
)
の
読本
(
よみほん
)
の『八犬伝』『巡島記』『
弓張月
(
ゆみはりづき
)
』『美少年録』など、予約出版のものです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
この列仙伝は
帙入
(
ちついり
)
の
唐本
(
とうほん
)
で、少し手荒に取扱うと紙がぴりぴり破れそうに見えるほどの古い——古いと云うよりもむしろ汚ない——本であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
発作
(
ほっさ
)
が静まった時、継子は帯の間に隠した
帙入
(
ちついり
)
の
神籤
(
みくじ
)
を取り出して、
傍
(
そば
)
にある本箱の
抽斗
(
ひきだし
)
へしまい
易
(
か
)
えた。しかもその上からぴちんと
錠
(
じょう
)
を
下
(
おろ
)
して、わざとお延の方を見た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
帙
漢検1級
部首:⼱
8画
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
“帙”で始まる語句
帙
帙櫨