巨男おおおとこ)” の例文
けれど、都の人びとは、巨男おおおとこがおそろしい魔女まじょ息子むすこだということを知っていましたので、とおまわしに巨男おおおとこころそうと考えました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
二人の巨男おおおとこを見るに、結髪を黄色の布で包んでいるし、胴には鉄甲をよろい、脚には獣皮の靴をはき、腰には大剣を横たえている。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六尺位の背丈けの巨男おおおとこでね。まじめな、澄まアした顔をしていたわ。あの軍艦ふねの中でも一等のお金持ちで、一番の学者だって、取り巻きの士官や水兵さん達がそう云っていたから本当でしょうよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
巨男おおおとこ不憫ふびんに思って、こっそりと白鳥をってやることにしました。昼間は野原へ放ってやって、夜は自分のベッドの中でねさせました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
四十二、三の巨男おおおとこで、盤広ばんびろな顔に黒あばたがいっぱいだ。しかし、非常な才人であることは、その応対ですぐわかる。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、巨男おおおとこはふたたび南方へ旅立ちました。長いくさりをひきずって、白鳥をつれ、巨男おおおとこは広い広い沙漠さばくをくる日もくる日も歩いていきました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
月に白い菅笠すげがさに、顔は暗く隠されているが、肩幅のひろい巨男おおおとこすそをとって、脚絆きゃはんわらじ、道中差を落している。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)